湘南の光をすくいあげる人。ETSUKO TAGUCHIが描く“世界の色”

ETSUKO TAGUCHI 【365 Dir artist vol.2】
湘南の朝の光には、独特のやわらかさがある。
強すぎず、淡すぎず、海の揺れと街のリズムを優しく照らすような光。
その光の粒を、
まるで掌でそっとすくうように描く人がいる。
水彩画アーティスト ETSUKO TAGUCHI さんだ。
茅ヶ崎や湘南の街を歩いていると、
ふと彼女の絵を連想する瞬間がある。
潮風が通り抜ける音。
海に反射したきらめき。
夕暮れの空に浮かぶ淡い色。
「世界の見え方が変わる」というほど大げさではなく、
でも、確かに“少し視界がやわらかくなる”。
そんな感覚が、彼女の絵を見ると自然と生まれる。
今回の記事では、
ETSUKO TAGUCHIさんという“人”と、
その手から生まれる“色と光の世界”にフォーカスしている。
ただ絵が美しいというだけじゃなく、
その奥に宿っている ――
人と違う新たな「光」「色」を得た彼女が世界をどう感じているのか
「どんな想いで色を選び、線を置いているのか」
そして、
“見る側の心がふと動いてしまう理由は何なのか”。
湘南という土地を背景に、
アーティストとして生きる彼女の軌跡と魅力を、
できるだけ丁寧にすくいあげたいと思った。
光をとらえる感性が、とにかく繊細
ETSUKO TAGUCHIさんの作品を見て、最初に感じるのは
「光がそこにある」 という確かな実在感だ。
輪郭が曖昧なのに、
存在だけはくっきりとそこにあって、
柔らかな色が滲みながら形をつくっていく。
見る人がその場に立っていなくても、
風の向きや、湿度や、
その瞬間の空の色まで感じられるような作品。
“上手い”とか“綺麗”とか、
そんな言葉だけではぜんぜん追いつかない。
“知っている人なら一目でわかる”と言われる理由が、
作品を前にするとよく分かる。
そこには彼女だけの“気配”がある。
湘南で活動を続ける理由
彼女は、長く湘南で活動している。
その理由は、きっとこの土地が持つ
「光と空気の質」と関係している。
湘南の光は、ふんわりしているのに芯があって、
海辺に立つと空が広くて、
夕暮れになると色が何層にも重なっていく。
そのすべてが、ETSUKO TAGUCHIさんの水彩の世界に
自然と落ちていくように感じる。
街の色と彼女の色がよく馴染むのは、
きっと偶然ではない。
多方面で活躍するアーティストとしての横顔
水彩画家としての活動にくわえて、
彼女の表現の幅はとても広い。
・雑誌『湘南スタイル』
・『HONEY』(※現在は廃刊)
・Love Earthフェスティバルのポスター
・スノーボードブランド MOSS のグラフィック
など、幅広いジャンルのイラストやビジュアルを手がけてきた。
湘南エリアを中心に、
個展、マーケットイベント、ギャラリーでのPOP-UPなどにも精力的に参加していて、
その活動のリズムがとても彼女らしい。
控えめで静かな作風なのに、
歩みは驚くほど軽やかで自由。
そのギャップに、心を掴まれる人も多い。
“原画でしか伝わらないもの”がある
SNSの時代になって、
作品を見る方法はいくらでも増えた。
けれど、
ETSUKO TAGUCHIさんの作品は、
やっぱり“原画”でこそ本領を発揮するタイプだと思う。
色の層がどう重なっているか。
どこに呼吸のような余白があるのか。
水が紙を通って生まれた“偶然の美しさ”がどう残っているのか。
印刷や画面越しでは伝わらない“質感”がある。
だからこそ、
彼女の個展やPOP-UPでは、
初めて原画を見て涙を浮かべる人もいるという。
絵に泣くという感覚は、
理由を言語化できないほど感覚的で、
だからこそ本物なのだと思う。
彼女の絵が与えてくれる“気づき”
ETSUKO TAGUCHIさんの作品を見ていると、
心のどこかに風が通るような、
そんな清々しい気持ちになる。
世界はこんなにも柔らかかったんだ、
こんな色でできていたんだ、
こんな光があったんだ。
忙しい日々の中では見過ごしてしまいそうなことに、
そっと気づかせてくれる。
絵を見終わったあと、
少しだけ視界の透明度が上がったような感覚になる。
その瞬間こそが、
彼女の作品が茅ヶ崎という街で支持され続けている理由なのだと思う。

プロフィール
ETSUKO TAGUCHI(えつこ・たぐち)
湘南を拠点に活動する水彩画アーティスト。
雑誌『湘南スタイル』『HONEY』挿絵、Love Earthフェスティバルのポスター、
スノーボード MOSS のグラフィックなど多岐にわたる制作を担当。
湘南エリアを中心に個展・POP-UP・マーケット出店を行い、
オリジナル作品やグッズの制作・販売も展開している。
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