“もったいない”から始まる命の再生。Re:boardが刻むスケートボードの物語

Re:board 【365 Dir artist vol.3】
湘南という街は、海も風もゆるいけれど、
どこか「ちゃんと自分を持っている人」が多い街だと思う。
流されすぎず、尖りすぎず、でも“芯”がある。
そんな街でいま、ひそかに存在感を放っているアーティストがいる。
スケートボードの廃材を使って命を吹き込む、Re:board(リボード) さん。
初めて彼の作品を見たとき、
「これ、もとはスケートボードの板なの?」と目が止まった。
傷だらけで、すり減って、
役目を終えたはずのスケートボードが、
まったく違う姿で生まれ変わっている。
アートだったり、壁面のオブジェだったり、
ときには店舗の“使える道具”になっていたり。
ただのアップサイクルでも、
ただのサステナブルでもなく、
そこには“スケーターとしての哲学”がしっかり通っていて、
しかもそれがどこか優しい。
今回この記事でフォーカスしたかったのは、
「環境問題を語るアート」ではなく、
Re:boardさんが大切にする
“もったいない”という言葉の深さ。
「モノの命をつなぎたい」
「無駄にしないという感謝」
そんな想いのかけらが、彼の作品には静かに宿っている。
“What a waste??” から始まった物語
Re:boardさんの原点は、とてもシンプルだ。
捨てられてるスケートボードを見て
「もったいない」
そう思ったのがすべての始まり。
スケートボードを使う人なら分かると思うが、
板はひとつひとつ、傷のつき方も、色落ちの仕方も違う。
乗ってきた時間や場所が違えば、刻まれるストーリーも違う。
「ゴミだと思われるものが、僕にとっては宝物だった」
そう語る彼の声には、
スケーターとして積み上げてきた時間と経験が静かに滲んでいた。
壊れた板が積み重なっていくのを見て、
「まだ終わらせたくない」と思ったのだという。
その、“ただ捨てるのはなんか違う”という違和感が、
アーティスト Re:board のはじまりだった。
役目を終えた板に “新しい命” を与える
廃材となったスケートボードの板は、
実はとても美しい。
削れて、角が丸くなり、
傷が層になって色が滲み、
ひとつの“景色”みたいになっていく。
Re:boardさんは、その板から“次の姿”を探し出す。
・アートピース
・壁面オブジェ
・キーホルダーや小物
・ハンドルや店舗什器
・ビールタップのハンドル
同じ板はひとつとして存在しないから、
ひとつとして同じ作品は生まれない。
「その板が“行きたがってる形”があるんだよね」と彼は言う。
アップサイクルというより、
“蘇生”に近い感覚なのかもしれない。
盆栽アートは「新しい命」を与えた、その象徴と言える作品だろう。


スケーターであり、バンドマンでもあるというアイデンティティ
Re:boardさんの作品には、
スケートカルチャーだけでなく、
音楽の匂いもどこか漂っている。
それは、彼自身が
スケーターで、バンドマン
というバックボーンを持っているからだ。
動き続けること。
失敗しても笑ってまた進むこと。
誰かと作り上げるグルーヴ。
スケートも音楽も、
「自由」と「不器用さ」と「衝動」を肯定してくれるカルチャーだ。
彼の作品にある“粗さの美しさ”や
“偶然性のリズム”は、このバックボーンがそのまま反映されている。
「整いすぎていないもののほうが、僕は好き」
そう語る彼の言葉は、
スケーティングの軌跡のように、
どこか自由で真っ直ぐだった。
店づくりの一部になる Re:board の作品
面白いのは、彼の作品が
“飾られるアート”にとどまらないところ。
湘南の飲食店やショップには、
Re:boardさんの作品が“機能として”組み込まれている店が多い。
とくに象徴的なのが、
ビールタップのハンドル。
スケボーの廃材とは思えないほど存在感があり、
手にすると不思議と“やさしい重さ”がある。
他にも、
壁の一部として埋め込まれていたり、
棚の素材になっていたり、
什器の一部に生まれ変わっていたり。
「モノの命を延ばすことが、誰かの空間を支えることにもなる。」
そんな風に、
新しい命が街の店を支え、
店を訪れた人の手に触れ、
また次の時間へとつながっていく。
アップサイクルを、
こんなにも“街の営み”として成立させているアーティストは珍しいと思う。
廃材だからこそ、生まれる“温度”
誰かが使い込んだ板。
誰かが落とした傷。
誰かの人生の断片。
廃材には、本当はたくさんの“温度”が残っている。
新品の素材には出せない、
あいまいで、生々しくて、
だけどとても愛おしい温度。
Re:boardさんの作品がどこか暖かい理由は、
その温度を丁寧に拾い上げているからなんだと思う。
作品はカッコいいのに、
どこかやさしい。
その“矛盾のやさしさ”が、
彼の色であり、
彼の作品そのものだ。

プロフィール
Re:board(リボード)
廃棄されたスケートボードの板をアップサイクルし、
アートピースや店舗什器へと再生させるアーティスト。
スケーター/バンドマンとしてのバックボーンを活かした
唯一無二の世界観を持つ。
湘南エリアを中心に、飲食店やショップとのコラボレーション、
ビールタップハンドルの制作、壁面アート、オブジェ作品など
多岐にわたる表現を続けている。
公式SNS https://www.instagram.com/re.board.japan/
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